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最近のLinuxデスクトップ環境とIT関連のメディア報道について思うことなど

先日、Ubuntu 26.04 LTSがリリースされ、本日はFedora 44がリリースされるなどしている中、Linuxのデスクトップ環境を取り上げるメディアが増えているように思える。昨日は、Ubuntuを取り上げた動画ニュースもあった。

あれができます、これができます、という「できること」のレビューや、「美しいデスクトップ環境」といった見た目の話が多くて、これでは一般には普及しないなあ、という感想しかない。

なにしろ、ハードウェアを買ってきて電源入れたら自動で起動して使えるようになるWindowsと勝負しないといけないのだ。最終的にはWindowsを消してLinuxで上書きしないといけないのだから、勝つまでには大きなハードルがある。

なお、macOSも比較対象となるかもしれないが、基本的にmacOS以外を動作させることが想定されていない専用ハードウェアであるMacというものであるので勝負にならないし、macOSを使う前提でハードウェアを買っているのだから、Linuxデスクトップは元から考慮されてない。しかもMicrosoft Officeと、Adobe Creative Cloudが動作し、さらにいうと「UNIX」であるワークステーション的なデスクトップOSである。お金さえあれば、Linuxより使いやすくて便利なUNIX環境は、正直言って「これ一択」である。

というわけで、Windows環境からスイッチするためには非常に精神的なコストがかかるわけだが、スイッチするためには以下のような情報がまとまっていないと、まず最初の一歩が踏み出せないと考える。

Adobe Creative Cloudは、まあ、プロフェッショナルなユーザーしか使わないとしても、Microsoft Officeは一般的に使われるソフトウェアである。「Wordのかわりにこういうワープロソフトがありますよ」という紹介だけでは少しも刺さらないわけで、「こういう使い方をWordでしている人は、こういうソフトでこうすると同等の成果が、より迅速に、より安い費用で得られる」という同等の成果と時短やらローコストやらを様々な事例で説明しないと、OSごと切り替えてみますか、とはならない。

ついで、印刷はあまり最近では自宅では行わないと思うのでプリンタ対応は、それをハードウェア対応として強調されても、あまり意味がない。例えば、「印刷したいデータがある場合はこういうソフトでPDFに変換して、さらにスマホに転送しコンビニのプリントサービスのアプリに認識させて、コンビニで1部のプリントアウトを得られる」というフローを説明したり、ワープロ以外では写真の印刷をスマホを絡めてコンビニでどう出力するか、といった具体的な使い方の説明が必要。さらにこれが、Linuxでないと時短やローコストといったメリットがないとWindowsからのスイッチは望めない。

スマホ関連でいえば、スマホとLinuxデスクトップでの、自動同期(単純なデータだけでなくデスクトップ側にある音楽データや動画データのプレイリストをスマホのアプリに認識させることも必要)や、スマホの写真を取り込む、スマホのバックアップといったデータ連携が、何がどうできるのかということも重要。また、Apple Musicのようなスマホでの音楽アプリ・クラウドがLinuxでどう使えるのかということも、現在のニュースサイトでのレビューでは情報が薄いか、まったく触れられていない。これではLinuxを使ってみようとはならないのではないかなあ。いままでできていたことができるかどうかわからないと不安だもの。

VirtualBox環境にLinuxをインストールして、テスト・トライアルする方法も、だいたい「インストールして起動するから使ってみよう」で終わっていることが多く、トライアルのあと、もし気に入ったら、どうすれば、「トライアルのOS設定やそこに作られたデータを維持したまま」でVirtualBoxでなくWindowsを上書きしてLinux専用環境に移行できるのか、という手順の説明も必要だし、そのときはもともとのWindowsに溜め込んだデータも、完全に移行できないと意味がないので、そのあたりのやりかたも説明してほしい。一般の家庭ではパソコンは1台しかないと思うので、何らかの方法でシームレスにデータ移行しつつトライアルでのOS設定を引き継げないと、移行するメリットが見出せない。新しくパソコンを買って移行すれば、というのであれば新しいパソコンにもともとインストールされているWindowsでいいじゃん、となる。


というようなことを考えつつ、個人的にはサーバはUbuntu Linuxを使っているので、Linuxを拒否しているわけではない。

デスクトップOSはメインはmacOSで、サブでWindowsを使っている。実験、実証以外でLinuxをデスクトップOSで使いたいとは、思えないのでありました。だって上記のようないままでできていたことがLinuxでもできると理解できないと不安だし(実際、Linuxであれこれ実現可能なの? という疑問は、Linux環境を作ってあれこれイジることができるスキル持ちの自分でも解決できていない)。

さらには、Adobe Creative CloudとMicrosoft Officeが動作しないと仕事にならないし。

結局のところ、Linuxデスクトップは、アンチMicrosoft・アンチAppleの原理主義者か、ニッチな用途でLinux環境が必要なプロフェッショナルユーザー(AI関連とかサーバアプリ開発のひととか)といった、極めて少ないユーザーしか使われていかないのではないか。ただしこの属性のユーザーは強烈にLinux環境を支持するはずなので、何らかのブレークスルーがあれば、そういったユーザーを起点として一気に普及する可能性はあるかもしれないけど。

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